迷宮知らずの迷探偵事務所『迷探偵と名探偵助手』
ただ探偵事務所だという認識なのは所長の結人だけで、現実はどんな依頼も請け負う『なんでも屋』のような存在として周りから認知されており、映画や漫画のように殺人事件や迷宮入り事件に知恵を貸してほしい!的な依頼はもちろんないわけだ。

今回請け負っていた依頼は夫の浮気調査という、探偵業にありがちなケースだったわけだが、所長の機嫌を良くする依頼ではなかった様子。

それもそのはず、結人の憧れる探偵像は鋭い推理力と犯人を制する格闘術を併せ持つ、MI6顔負けの人物であり、浮気調査のような忍耐、体力勝負な依頼を好まない。

それどころか以前は『つまらない』という理由で気にいらない依頼を断るくらいだった。

もちろんそれで事務所経営が成り立つわけもなく、浮気調査等の結人曰く『イージーな案件』は俺が請け負うことで、なんとか事務所を維持している状態だ。

俺の苦労を知ってか知らずか、結人は満足そうにコーヒーを飲み干すと、「お疲れ!依頼人には俺が連絡しとくから、誠はゆっくり休んでくれよ」と俺の肩をポンポンと叩くと、デスクの上のPCを立ち上げた。
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