ありえないようなイケメン君と、現実的な恋、はじめます。
出会い
はじめまして、こんにちは!!
私は黒木茜です。
好きなことは花を育てることで、嫌いことは勉強をすることで……なーんてね。
新しいクラスメートにする自己紹介の文を何度も考えてみるけど…自分のことをちゃんと紹介できるような良い文って、思い浮かばないものね。
心の中でそんなことを考えながら、さくらが綺麗に咲いている道を歩く。

自己紹介の文を練っていると、いつの間にか校門の目の前に立っていた。
桜花高等学校というだけあって、校舎の中にも桜の木がたくさん植えられていてる。
時刻は7時30分。
登校完了は8時5分だから、まだ生徒は誰も来ていない。
朝の静かな時間が好きなのだ。
ゆっくりと校門をくぐり、下駄箱に向かい、クラス表を確認する。
私の名前はどこにあるかなぁ~…
・・・
あった!四組、34番黒木茜。
とりあえず、四組の教室に向かおう。
はき古したスニーカーを脱いで34番のところに入れ、新しい上履きを取り出して履く。
暑苦しい廊下を、無言で歩いていく。
窓は空いてないし、クーラーはついてないしでムシムシして、廊下は最高に暑い。
教室に着いてからクーラーをつけなくちゃいけないから、教室も着いたときは暑いだろうなぁ…。
そう思っていたけど。
カラカラッと軽い音を立てて開けたドアからは、ひんやりと冷えた冷たい空気が流れ込んできた。
あれ?と思い、中をのぞく。
教室の中には、一人の男の子。
窓際の席で、静かに本を読んでいる。
静かそうな人・・・。
私が教室のドアを開けたときも顔あげなかったし。
顔はよく見えないけれど、かっこいい雰囲気。
まぁ、たぶん知らない人だ。
違う中学校の子だろう。
桜花高等学校は、たくさんの中学校から入学生が来る。
知らない人がいて当たり前だ、と一人で納得した。
黒板に貼ってある座席表を見るために黒板に向かって歩いていく。
男の子はいまだ本に目線を向けたままだ。
静かすぎる教室に、私の上履きのキュッキュッという音だけが響く。
・・・気まずい。
だれか早く来てくれないかなぁ…
ついさっきまで、朝の静かな時間が好きとか思ってたけど。
そんなことを思いながら、目の前に貼ってある座席表を確認していく。
私の席は、桜の木が見えるであろう、窓際の席だった。
・・・窓際??
後ろをちらりと見て、実際の席と座席表を見比べると、やっぱりあの男の子が座っている席の隣だった。
別に緊張なんてしてませんよ~って顔して席に近づく。
本当はめちゃくちゃ緊張してるけど、意識なんてしてないって雰囲気出して、さ。

いつもより静かに息をし、何も持ってくるものがなくてスカスカな軽い軽いスクールバッグを机にそっと置いて、ちらりと横を見る。
やっぱりかっこいい。
さらっさらそうな黒髪のストレートに、紺色っぽい眼鏡。
目は切れ長で、ひとみの色が茶色っぽい。
まつ毛がとてつもなく長くって、女の私でもずるいと思うくらいだ。
背は、座ってるからはっきりとは分からないけれど高いほうだと思う。
一般的にいう"イケメン"だ。
ぎこちなく椅子に座り、何をしようかと迷う。
中学の頃は朝いつも一人だったから、鼻歌を歌ったり、課題を提出したら外を眺めたりしていた。
だけど今日は一人じゃない。
鼻歌を歌うなんて恥ずかしくて考えられないし、今日は入学式だから課題はそもそも出されていないし。
外を眺めたりなんかしたら、変な悟りを開いてる人だと思われたりするかも・・・。
なんて思ってるうちに、時間はもう45分前になっていた。
いけない。
せっかく朝早く起きて早く来たんだし、時間あるんだから。
隣の人と仲良くなろうとしてみてもいいかもね。
小さく深呼吸をして、隣を見る。
わぁぉ・・・・・・・・
近くで見ると、かっこよさがすごい。
やばい。
本当にかっこいい。
なぜか、見ているだけの私が恥ずかしくなってしまうくらいかっこい——
え?
急にイケメン君がこっちを見た。
今まで全く動かなかったのに!!!
よりによって、顔を赤くして、興奮してるメスざるみたいな顔を直視されるなんて!
まつ毛の長い切れ長の目、小さな鼻、形のいい唇。
冷たそうな瞳の中に私が映っているのがわかる。
ぼわぁっって音がついてそうなくらい勢いよく、顔がさらに熱くなる。
ここで顔をそらすのはイメージ悪いよね・・・?!
「あ、え、あのー…おはよう、ございます!!」
思いっきり笑顔で挨拶をした。
まぁ、ひきつってたけども。
「・・・おはよ」
おはよ、の一言の破壊力がやばい。

でも、案外良い人そう!
もっと話して見ようっと!!
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