エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「いくらなんでも、妊娠という嘘は感心しません」
腕組みをして彼女を諭す。しかし彼女は、反省するどころか胸を張った。
「嘘じゃないわよ。妊娠は」
「妊娠“は”……?」
ということは、実際百合のお腹の中には赤ちゃんがいて、その父親が別にいるということか……?
そういわれて改めて彼女を見れば、顔とお腹周りが少しふっくらとしたような気がする。
いつもピンヒールを好む彼女の足元も、ヒールのないバレエシューズ。そういえば、パーティーの後で呼び出した時も、酒は飲まずに炭酸水を……。
僕はそこまで思い出し、ハッとする。
「まさか、社長はそれを巴に伝えるために……?」
「そうよ。パパはあの女をあなたと別れさせるために。私はあなたを説得するためにわざわざここへ来たの」
……なんということだ。百合本人がいけしゃあしゃあと“僕の子”だというのだから、あの父親も同じように伝えたに違いない。
ショックを受ける巴の顔が頭によぎり、胸が締め付けられる。