私、いじめたアイツをオトしてみせます。〜イジワル男子攻略法〜
七海遥だ。
今日隣の席で、私と目を合わせて薄く笑って見せたアイツが、今はこの教室に2人きり、私とここにいる。
てっきりとっくの昔に帰ったのだと思っていたけど、まだ学校に残ってたなんて。
一体なんのために…?
「別に大した用じゃねぇよ。俺の身内がここで働いてるから呼び出されてただけだよ」
「身内?」
というか、私今一言も声になんて出してないはずなのに、なぜ私の心の疑問がわかったのだろう……。
「お前みたいな馬鹿の考えてることなんて顔見ただけでわかるだろ」
「ば、馬鹿って……。失礼なこと言わないで。それにどうして教室に……」
戻ってきたの?
そう発し終える前に、七海はその切れ長の二重の瞳を流すように携帯から私に移して見せた。
思わずその色気のある仕草に言葉が途切れる。
「別に。うるせぇからさっさと帰れ」
う、うるせぇからって……。
後から現れたのはそっちでしょう!?
そう言い返したいのに上手く口が動かない。
も、もういいや。
携帯も新着メッセージの通知ランプが光ってる。
きっと沙梨奈や咲ちゃんの部活の話が終わったのだろう。もう外に行こう。
私はそれ以上、七海に何かを返すことなく、机に置いていたカバンを肩にかけて彼の前を通り過ぎようとした。
そのとき。