さようなら、初めまして。
「無理強いはしないよ?言われたからって逢生が嫌々会うなら…止めたほうがいいと思う。ジンさんに悪いよね?だけど…心臓の事、はっきり解ったらどうだって言うの?そんなの、倫理上、誰のモノかは教えてくれないんでしょ?
だったら、似てるって思い込んでるだけでしょ?
………会えなくなったのは、悠人君が…死んじゃったんだって思う事も、その…心臓が、ジンさんに移植されたのかもって思う事も。
全部思い込みだよ。言ってるでしょ?雰囲気の似てる人は居る。偶然似た人に出会う事だってある。そんな事無いって否定するのも勝手な思い込みなんじゃない?…それって自分の都合のいい思い込みじゃないの?…逃げてるっても言える」

…。

はぁ、こんなに強く言った事は初めてかも…。だけど、優しく…当たり障りなく見守るにも、…誰かが言わなくちゃ逢生は、いつまでも逢生に戻れない。

「身代わりみたいに好きになるのはって、思うんでしょ?」

…。

「似てるって人だから…解るけど。…解るけど、じゃあ、別の人ならいいの?ジンさんじゃなく、違う人なら好きになるの?
どこかで…性格の似た人を、やっぱり好きになるんじゃないの?
悠人君が好きだったって事は、その性格だとか、雰囲気が好きだったってことでしょ?
だとしたら、好きになれる人って、そういう人でしょ?…どう?
誰も彼も、突然居なくなる人ばかりじゃないんだよ?
別に…私が強引にジンさんを推す必要はないんだけどね。せっかくの出会いでしょ?
もう会わないとか早々に決めてしまわないで、もっと慎重に…いい人と出会った事、大事にしてみたら?」

…。

「逢生?ごめん、きつかった?余計な事、言い過ぎた?」

「…ううん、ごめん、有り難う。…じゃあ」

「あ、ちょっと、逢…」

生。…はぁぁ。やっぱり言い過ぎたかな…。何もかも腑に落ちなくて、辛い気持ちになるのは解ってるんだけど…。

会えるものなら、もうとっくに悠人君だって、別の日に会いに来てるはずよ。
連絡先が解らないっていったって、悠人君は逢生の部屋は知ってるんだから。
それが、会う約束の日からぷっつりっていうのが…。居なくなったって事だと思うんだ…。辛いけど。それしか理由はないと思うんだよね…。
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