死にたがりティーンエイジを忘れない
やがて、上田と尾崎が合流した。
尾崎はやっぱり普段よりも、女としての自分を強調しているように見えた。
上田はけっこう冷静で、むしろ冷淡だった。
夕食のファミレスで、上田とわたしだけになるタイミングがあった。
上田はこっそり言った。
「誰かと一緒に買い物に出たことって、中学時代に菅野とちょっと遊んだことがあるくらいなんだけど」
久しぶりに菅野という名前を聞いた。
小柄な野球部の、ひどく無邪気なやつ。
男子校に行った。
ちょっと言葉を切った上田は、ため息交じりに続きを言った。
「さすがにやっぱり、女子のペースに合わせるのは疲れるね。悪口のつもりじゃないけど、ずっと誰かと一緒に行動するっていうのは、ぼくは慣れてないから、けっこうきつい」
「尾崎はきみといたいんじゃない?」
上田はビックリしたように視線を上げた。
「蒼さんにそんなこと言われるなんて思わなかった。そういうところ、見てるんだ? いや、見てるよね。文芸部誌のホームステイのラブストーリーも、すごいリアルだったし。蒼さんの実話なんじゃないかって思うくらい」
「それは違う。わたし自身は、恋には興味ない。まわりのことは、ちょっとは見えるけど」
「見える? 本当に? 本当にちゃんと見てる?」