死にたがりティーンエイジを忘れない


「今日、配られたプリント多すぎじゃん。授業の課題とか、いきなりすっげー多いしさ。今日休んだやつ、明日出てきたとき、絶対ビビるって」

「明日、出てくるかな? 今日、無理だった人は、明日からも難しいんじゃないかな」


答える声は、上田だった。

じゃあ、最初の無邪気なほうは、今朝言っていた菅野っていう友達だろう。


会話は続いていた。

でも、わたしはそれを聞かずに教室を出た。

智絵のクラスは二つ隣だ。

課題はたぶん同じだろう。


急に、ひらめいた。


智絵が教室に来られないなら、わたしが課題を手伝おう。

智絵のぶんまで授業のノートを取って、家に届けよう。

智絵が一緒に勉強する気持ちがあるなら、わたしが智絵の部屋に行こう。


わたしには、勉強という武器がある。

去年は、自分勝手をするための武器だった。

でも、違う使い方だってできるはずだ。


もっとキッチリ勉強しよう。

人に教えられるくらい、キッチリ。

誰よりもちゃんと理解してやる。


去年の夏休み、智絵がわたしの友達になってくれて、わたしは救われた。

ギリギリのところで踏みとどまれたように思う。

笑い方だとか、小説を書く意欲だとか、大事にしていたはずのものを思い出した。


だから、今度はわたしが、ほんの少しでもいいから智絵の役に立ちたい。


学校にちゃんと通おう。

そう決めた。

授業のノートを欠かさないために、絶対、どんなにイヤでも学校に通おう。


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