シンデレラは騙されない


凛様の呼ぶ声に私も街灯の下へ向かった。
凛様は明るい場所で私の顔をジッと見る。
今夜の暗闇は凛様の心を寂しく覆い隠すみたいで、凛様は子供みたいに暗闇を避けていた。

「星矢の事を一番に考えるよ…
俺もできる限り星矢の面倒を見る。
それは約束する」

そう喋りながらも、凛様の視線は私の顔だけを捉えている。
私の表情に何か答えを探しているみたいに。

「でも、悠馬さんはダメだ…
悠馬さんには近づかないでほしい。
あの人はいい人だけど、俺は認めない。
認めるわけがないだろ?
だって、麻里は俺の恋人なんだから」

凛様の口から出た恋人というフレーズがとても新鮮で、何だか胸がときめいた。
でも、凛様は、何だか泣きそうな顔をしている。

凛様のクルクル変わる表情に、私の方が凛様を守りたくなる。
凛様を傷つけたくない…
そんな事を思う私が、一番凛様の心を傷つけているのに…

凛様はまた私を抱きしめた。
でも、その気だるい腕の力に凛様の弱さを感じてしまう。
凛様と私の関係を断ち切るのなら、それは私の仕事。
凛様から私を断ち切るなんてあり得ないから。

そんな事を考えると胸が苦しくなって、息が上手にできなくなる。
どうして、私は、こんなに手の届かない人を好きになってしまったんだろう…




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