シンデレラは騙されない
でも、たまに、思い出したように凛様から連絡が来る。
“今日、ランチできる?”とか“一緒に帰ろう”とか。
“一緒に帰ろう”は、凛様に急用が入って、ことごとくキャンセルになる事が多いけど。
そして、時間は刻々と流れ、秋の気配とともに10月が訪れた。
星矢君の受験も10月の後半から始まり出す。
この頃の私と凛様のつき合いは、さほど何も進展はなかった。
今は星矢君の事を第一に考えるという心のうちは、私も凛様も同じだから。
そんなバタバタした日々が続いたある日、珍しく凛様が星矢君の部屋を訪れた。
帰りの遅い日が続く凛様は、このところ星矢君の顔を見る事があまりなかった。
そのせいで、星矢君が少し元気がなかったのは事実で、私はその様子を凛様にはメッセージで伝えていた。
「凛太朗!」
凛様に気付いた星矢君は、あっという間に凛様に飛びついた。
そんな星矢君を凛様は軽々と持ち上げて、ほっぺに大げさにキスをする。
「ほら、ちゃんと最後までお勉強を済ませて。
そしたら、俺とお風呂に入ろう」