シンデレラは騙されない
凛様の胸から下りた星矢君は、大きな声で分かったと返事をして、また私の元へ帰って来た。
凛様が見守る中、お受験のための塾から出ている課題に取り組む。
幼稚園生には少々難しいと思う課題にも、星矢君はスムーズに対応できて正解を導き出す。
かなり頭がいい。
私は5歳の星矢君にその度に惚れ惚れしてしまう。
課題を終え、明日の幼稚園の準備を済ませた星矢君は、私にしっかり挨拶をするとすぐに凛様の膝に飛び乗った。
すると、凛様は私に、もう少しここに居てと目配せをする。
「星矢、嬉しい話があるぞ」
「何、何?」
星矢君は凛様の膝の中で、ワクワクして凛様を見上げた。
「明後日、お母様が帰ってくる。
そして、星矢の受験が終わって、新しい学校への手続きを済ませるまで、ずっと星矢の側にいるって。
良かったな~~」
凛様はそう言いながら、星矢君をギュッと抱きしめる。
「その代わり、お母様と交代で俺が日本を離れる。
一か月半か二か月くらい会えなくなるけど、大丈夫だよな?
お母様がいるもんな?」