シンデレラは騙されない


凛様が出発する日。
その日もその前日も、私達は会えなかった。
急に日本を離れる事になった凛様は、仕事を最優先してその残りの時間を費やしていたから。

だから、あの晩に、私に会いに来た。
いつの間にか居なくなった凛様。
でも、その方が良かったのかもしれない。
改めて別れを認識する方が、今の私には耐えられないはずだから。

そして、その翌日、綾さんが帰国した。
星矢君の笑顔が輝き出す。
私自身もいよいよお受験の本番が近づいたのだと実感した。

綾さんは自分の仕事は後回しにして、全ての時間を星矢君のスケジュールに充てている。
星矢君の気持ちの安定が一番大事な時期だと、斉木家の皆が認識していた。

そして、そんなある日、私にとっては最悪なお客様が斉木家に招かれた。
会長も綾さんも不自然なほど平塚さんの話をしなかったのは、今日のこの日があったからかもしれない。

平塚さんが綾さんにどういう風に私との事を話しているのか全く見当がつかない中で、今日の食事会に私も平塚さんも呼ばれているという息苦しさに、私の忍耐力はどれくらい持つのか分からない。

気分が重すぎて笑顔になれるか心配だった。
だって、平塚さんは私と凛様の関係を全て知っている唯一の人物で、その上、厄介な事に私のお見合い相手だから。





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