シンデレラは騙されない


「でも、前もトライして、凛様の方からすぐに切ったのに?」

凛様は困ったように私を見る。

「きっと、俺は今どきの若者じゃないのかもしれない。
最先端のデジタルよりもアナログの方が好みだったりするから」

「無理しなくてもいいんですよ…
私は顔が見れなくても、声が聞ければ大丈夫ですから」

そんな私の切ない言葉に、凛様はギュッと更に私を抱きしめた。

「いや、ビデオ電話にする。
そして、毎日、麻里にお休みのキスをする」

「え? 電話に?」

私は可笑しくて凛様の胸の中で笑った。

「いいだろ~~
そうか、今度、ビデオ電話でキスを試してみよう。
お互いキスをしたら、本物のキスみたいになるかも」

私は毛布を顔まで持ち上げて、嫌ですと言って首を横に振った。
こんな事を真剣に提案する凛様って、本当に子供なのかもしれない。
でも、この可愛らしいギャップに、私はいつも心を奪われる。

「麻里、今から、試しにやってみない?」

私は毛布の中で、首を振りながら可笑しくて笑った。
すると、凛様まで毛布に入ってきて、拗ねた顔で私を見つめる。
その顔があまりにも魅力的で、今度は私の方から熱いキスをした。

「気が向いたらつき合って」

まだ言ってる…
私達はまどろみながらキスをして、そして可笑しくて笑った。
こういう風に、凛様は悲しみをいつも笑顔に変えてくれる。

そんな凛様がいない日々を、私は耐える事ができるのかな…






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