シンデレラは騙されない
と、私が言いかけた時に、綾さんが私を呼んだ。
そして、私を自分の隣に座らせると、平塚さんの色々なエピソードを話し始める。
とにかく努力家で、家族思いで、妹達がすごくいい子で可愛いという話を。
「一番下の妹さんが今度、大学を卒業なのよね?
それで、お兄ちゃんは晴れて恋愛ができる」
綾さんはお酒が入っているせいで、すごく機嫌が良かった。
私と平塚さんをくっつけたいという気持ちが全面に出て、何だか気まずいくらい。
「綾、さっきから言うように、麻里ちゃんとは友達から始めるって決めたんだ。
来年、弟君の受験が終わらなきゃ気持ちも落ち着かないだろうし、ゆっくり僕の事を分かってもらうよ」
平塚さんは本当に大人でそこにどんな本心が隠れているのか、私は何も分からない。
でも、友達という言葉は何だか私を楽にしてくれた。
絶対的に避けられないこういう状況だって、友達という言葉で許される気がした。
「星矢は、もう寝ようか」
専務が眠たそうな星矢君を抱き上げてそう言った。