シンデレラは騙されない


「父さん、俺って変わっただろ?
何でだと思う?」

父さんもいわゆる名家の出身だけど、世襲とかそんなものはくだらないと思っていた父さんは、この斉木家に婿に入った。

この家の跡を継ぐのは実子の母さんだと決まっていたから。
だから、父さんは、みんなに迷惑をかけない程度に好きに生きている。
賛否両論色々な意見はあるけれど、そんな事はお構いなしに。

そして、俺の単純な質問に、父さんは笑みを浮かべながらしばらく考える。
この家にあまり寄り付かないため、この家に内情は他人並みに知らない。
だからこそ、そんな父さんは、俺にとってはすごく都合がよかった。

「何だろうな…
あんなにこの家を嫌がってた凛太朗を、変えたものって」

俺は、他の三人の顔を見る。
義兄さんだけは目を逸らさなかった。
まばたきもせずに俺を見ている。
それが何の意味を持っているのか、見当がつかないけれど。





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