シンデレラは騙されない
俺は母さんの言動から、あまり期待はできないと思った。
それならそれで全然構わない。
麻里は俺と結婚する。
それは決して変わらない二人の未来だから。
「父さん、行こう」
父さんは小さくため息をついて、分かったと言った。
これから先の何か月は俺にとって正念場で、母さんとの駆け引きには何があっても負けたくない。
でも、その反面、諦めの境地に似た感情もあった。
もう、なるようになってくれと…
何のしがらみもなく、麻里を愛したい。
俺達の望みはそれだけなのに…
父さんの横浜の家で、俺は麻里の自宅の住所を必死に探した。
最悪な事に、俺と麻里の会話に、今、麻里が住んでいる自宅の話はほとんど出なかった。
幼い頃は違う場所に住んでいた麻里は、今の自宅には大人になってから引っ越した。
そのせいか、住所とか、大体どこらへんとか麻里がそんな事を話す機会もなかったし、俺が聞く事もなかった。
そんな俺の隣で、星矢が俺に秘密を教えてくれるという。