私は強くない
無事、プレゼンが終わった。

ここまで来るのは大変だったけれど、俺は幸せだった。
自分から、「好きだ」と告白しようとしていたのに、まさかの慶都からの告白に舞い上がってしまったが。

これも、全部あの奥菜がやってくれたからだと言うのは納得出来ないが。

まさか、奥菜の浮気相手が慶都を待ち伏せするとは思ってなかった。
あれは、仕事中に慶都が、奥菜を呼び出したのが分かった。
黙ってついて行こうとしたが、仕事が終わらず俺が行った時、慶都は奥菜にキスされていた。
嫌がる慶都に無理矢理、しかもそれを俺が見てしまった。
泣いて俺から離れようとする、慶都を落ち着くまで、抱きしめた。
そして、慶都からの告白。

それから…まぁ、もう我慢出来ずに、そのまま……
まさか、あんなになるなんて、俺自身が驚いた。
もういい年だってのに、あんなに何回も……そして慶都が煽るなんて思いもよらなかった。愛おしかった全てが。


あの事があったから、プレゼンが終わってからと、先延ばしにしていたが、お互い気持ちをちゃんと伝えようとしたのかもしれない。

金谷や木村に、からかわれたけれど、それもまた、心地よいからかわれで。
都築には、もう頭が上がらない。

お互い、周りから助けてもらっていると実感が出来た。

今日のプレゼンでも食事に出た時、長浜課長から

「いやぁ、ブランクがあるってのに、倉橋君はさすがだね。このプレゼンの話を聞いた時は本当は出来レースだと思ってたんだよ、私もこの下永と中井もね」

「そうだったんですか?」

「そりゃそうだろう。ずっと営業でやってきた奥菜で決まると誰だって思うじゃないか。これが倉橋君が営業部に残ってたんだったら、考え方は変わってたがね、な?君らもそう思っただろ?」

下永さんと中井さんも頷いた。

「まだちゃんとした結果は、私達は出していないが、出来レースじゃなくなったのは確かだよ。ちゃんと話をして決めさせてもらいますよ」

「………ありがとうございます」


俺は頭を下げた。
これを慶都が、聞いたら喜ぶだろう。
もし、選ばれなかったとしても、本望だろう。

そう、思った。


…で、この結果だ。

俺も驚いた。

慶都が、やってきた事が認められた事が嬉しかった。
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