私は強くない
目には目を…
「香里!姉さんが心配してた事は、こう言う事だったのか?相手はどこのどいつだ?俺が話してやろう」

「…や、やめて!わた、私は大人よ。自分の事は自分で決着つけたいの!お父さん、お母さんには言わないで、お願い!叔父さん!」

香里が、柏木部長に頭を下げた。
柏木部長は困ってるようだった、それを見た、圭輔さんが言葉を続けた。

「柏木部長。姪御さんも、自分で決着をつけたいと言ってるんですよ。見守ってあげましょう。ただ、人生経験を積んだ私達だからこそ、出来る助言をしてあげようじゃないですか?浮気する男とは?でしょう?」

「…そうだな。香里、それでいいんだな?」

頷く香里。

柏木部長は納得したみたいだった。
さすが圭輔さん。
そっと、圭輔さんを見ると、視線が合った、そして優しく見つめ直してくれた。


二つのテーブルで分かれて話をしていたけれど、そこもまた圭輔さんが上手く席替えをしてくれて、とんでもない構図が出来上がった。

美波、都築課長、橋本君、柏木部長、金谷君、香里、拓真

で、飲み会が始まった。


私と圭輔さんは、あえてそのグループから外れた。どうして?って圭輔さんに話をしようとして、やんわり制された。

私と圭輔さんがわざと外れたのには、理由があった。
都築課長と話をしたらしい。
もちろん今、二人で話してた時にざっと説明したと。すると、都築課長が許さないと怒っていると。大事な部下を傷つけられて許せるか!って。
そして、お前ら二人は関わるな、俺と柏木部長で話はする。と…

どうも怒らせてはいけない人を、拓真は怒らせてしまったらしい…

そして、私はここへ来て人との繋がりの強さを感じていた。
こんなにも、周りのみんなから助けてもらっている。

ありがとう。

圭輔さんが、テーブルの下で手を強く握りしめてくれた。
大丈夫。俺がいる、皆んながいるよって。

横のテーブルを見ると、美波が合図してきた。

『始めます!』


キタ。

後悔しても遅いよ、拓真。




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