好きって言わなきゃヤダ。【完】

あー…もう、やだ。




心臓がドキドキいってる…。




心臓の音なんて聞かなくても


自分の気持ちくらい分かってるよ…。




そっぽを向くアタシの元へ、


瑠衣君がゆっくりと歩み寄ってきた。




えっ…瑠衣君？


なっ、なんだろう…。




そしてアタシの耳元に顔を近づくてくると


からかったような口ぶりでこう話してきた。




「…乙羽。俺のこと、意識しすぎ。そんな調子じゃ、いつまで経っても俺のこと落とせないよ？」




「……へ。」




呆れたように笑みを浮かべる声色は、少しだけ温かかった。




今までアタシに向けられていた


冷たい視線や声色が嘘に思える程に。