好きって言わなきゃヤダ。【完】
「言われなくても、分かってるよ。」




那央の言葉を聞き、瑠衣君はアタシ達に背を向けると、


フラついた足取りで帰ってしまった。




瑠衣君…大丈夫なのかな。


あんなフラフラしてるけど…。




やっぱりアタシ、一緒に帰ったほうが…。




心配そうに見つめていると、


那央の手がアタシの肩へ触れる。




「瑠衣君は俺がバレないようにこっそり送っていくから大丈夫だよ。だから乙羽は、もう夜だし家に帰っていいよ。」


「でも…。」


「本当は乙羽も送ってあげたいんだけど。彼がちょっと心配だしね。」


「那央…ありがとね。アタシは平気だから、大丈夫!瑠衣君のこと、よろしくね。」




瑠衣君のことはちょっと心配だけど…


那央が見ててくれるなら、大丈夫だよね。




「それじゃ、またね、那央。」


「うん、気をつけて帰ってね、乙羽。」




アタシ達はお互い手を振り合うと、


それぞれの道へと別れたのだった。




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