重なるてのひら ~ふれあう思い~
「落ち着いた?」

横抱きにして膝にのせ、ストールでクルリとくるんで覗きこむ。

「うん。」

泣きすぎて………頭がぼぅーとして………うまく回らない。

そんな私でも一つ分かることは………

先生がもう直ぐ帰る…………ってこと。

この温もりも…………後少し。

思わず先生の服を、ギュッと掴むと………

「大丈夫だから。」と言って、手を重ねてくれた。

大丈夫って………いつまで大丈夫??

心の中には、不安が溢れる。

もしも今日、お姉ちゃんが来ていたら………

まだまだ頑張れた。

お母さんは……仕事が忙しくて………側にいないだけ。

本当は……私とお姉ちゃんが大好きで………いつも気にしてる。

出来るなら母親として生きたいけど………仕方なく頑張ってる……と。

でも…………

もう無理。

お母さんの大切なものが何か、分かったから。

仕事。

それから…………

私とお姉ちゃんではない。

ぽつぽつ話す私の言葉を………じっと聞いてくれる。

「尋。…………ごめんな。
お母さんのことは……違うと思うよって………
言ってやれない。
気休めを言うと………余計、傷つけるから。
本当のことは、お母さんにしか分からないことだから。
だけど………
俺のことは……信じて。絶対に離れないし、一人にしないから。
もちろん、今一緒に過ごす訳にいかないから……一人のことはあるけど…
側にいて欲しいって言われたら、なるだけそうするし
それが無理でも……精神的に側にいるから。
少なくとも、別れたり離れたりしないから。
それくらいの覚悟がないと………生徒とは付き合えないだろう?
だから、一人にはならない。
第一、はぁちゃんや樹だっているだろう?
アイツら、絶対しつこいからな!
もう~嫌。って泣いても離れてくれないと思うよ。
俺がどうしても側にいれない時は、二人に子守りをしてもらいな。」って……。

先生…………本当??

ホントに、信じていいの?

「今日だけ特別だよ。ずっと一緒にいよう。」って………。

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