きみと1番目の恋
空気が変わる音がした。
実際には鳴っていない音が
聞こえるのは、敏感な私の
気のせいなのだろう。
その証拠に彼は今
何事もなかったかのように
ブラックコーヒーを飲んでいる。
翼「郁人くん、ごめん。
私、会社戻らなきゃ。」
郁人「うん。」
翼「手伝ってくれてありがとう。
郁人くんがいてくれて助かったよ。」
郁人「じゃあ、今度は翼さんの番。」
翼「え?」
郁人「また飲みに来てよ。
ソイラテでもジントニックでも。」
翼「うん、分かった。じゃあね!」
武彦は知らない
私の好みを彼は知っていた。