隣は何をする人ぞ~カクテルと、恋の手ほどきを~
「洗ってあげる」
「そんなの、無理です。普通と違う」
 
五十嵐さんにキレイな身体を見せたいから、先にシャワーを浴びたいのに。懇願するように私は彼をじっと見つめた。

「昨日までの普通なんて、さっさと捨てようか」

耳元近くで囁いたあと、二カッと笑う五十嵐さん。私の好きになった人が、なぜかとても悪い男に見えた。

そのまま抱きあった態勢で、彼は覆いかぶさるようにして、私の背中に手を回す。私は少し汗ばんだ五十嵐さんの鎖骨に顔を埋めた。

「帯、外しにくい。どうなってるんだ?」
「立ったり座ったりしても、崩れにくいようにって……お店の人が……」

大きな手がごそごそと背中をはい回るたびに、身体がこすれ合う。伝わる熱が私の心も刺激する、それがたまらなく恥ずかしかった。

「もう! 自分で脱ぐから」
「だめ、脱がせるために着せたんだから」

昼間と言っていることが違う。
わざとなのか、本当に手こずったのか、浴衣を脱ぐだけでたっぷり時間をかけられ、私の羞恥のリミッターは壊れていった。
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