僕ら死神の仕事
地上に出るとうるさい魂たちがふわふわと浮かんでいる。

きっと地界から逃げ出た奴等だろう。

「どうせこいつらを潰したとて虫のように湧くんだから意味なんて無いのに。」

あーあと思いながら近づいてきた魂を掴み…

握りつぶす。

走馬灯の欠片が散らばり消えていく。

魂というものは不思議だ。

ひとつの大事な記憶を持っていてそれで動く。

動き方は死ぬ前の人間の性格そのものだ

逃げ出したければ地上に行き助けを求める。

そんな奴等は地上で僕みたいなのに記憶ごと潰される。

檻に閉じ込められた魂たちは処分されるかまた次の体へと埋め込まれるかのどちらか。

そして…もうひとつは死神となるかだった。

走馬灯を使って裁判が行われ判決が言い渡される。

人間は閻魔がどうとかと言うが結局は死神の仕事だ。

欠片をひとつ手に取りその記憶を見る。

暗い部屋に1人でいる…そんな走馬灯。

欠片は形を崩していき、跡形もなく消えていく。

記憶もその人ももうこの世には存在しない。

完全にここから消えたんだ。

「あーあ。でもまだ楽だよね。地界から抜け出さず助けを乞うより。」

僕は魂を嘲笑うかのようにそう言い捨てる。

< 3 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop