大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

首元に頭を埋めてくるのは、甘えてる証拠だと笑いながら、奏の頭頂部を撫でてあげる。

「何の隠し味が入ってるのかなって?」

まだ素直になるには難しいから、奏の事を思っていたなんて言えない。

「…隠し味…ねーよ。ただ、お前に美味しいって言ってもらいたくて、作った」

ほんのり赤かった耳が、真っ赤だ。

いい男が、ぶっきら棒な口調で耳を真っ赤にさせて照れている姿に、母性本能が擽られる。

「かわいい…」

「お前…こんないい男捕まえてかわいいって…料理もできてかっこいいとか素敵とかあるだろう?」

耳が赤くなってる事は内緒にしておこう。

「…かっこいいね」

「気持ちが入ってない」

そりゃ、そうだ。
今の奏はかっこいいというよりかわいいのだから…

「思ってないからしかたないじゃん」

「絶対言わす」

「奏って、かっこいいのに口悪いよね。そこが残念ポイント⁈」

「はあっ、お前だからだろ…気を許してるってわかれよ。なんか、腹立ってきた」

えっ、と…嫌な予感。

「お前たんまり寝たよな…寝れないだろうから運動に付き合ってやる」

そう言った奏は、明日の事も考えてなのか、体を繋げる事はしなかったけど、気を失うまで鳴かされ続けた。
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