大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
だけど、こちらにもいろいろ譲れない事がある。
「守ってもらうだけじゃ、嫌なの」
素直に喜ぶと思っていたらしい奏では、キョトンとした顔でいる。
そして…
「お前、らしいわ。それでも守らせろ」
ほら、飯食うぞとばかりに、奏のルームウエアを頭から被せられ抱き上げられてのお姫様抱っこに、奏の首にしがみついた。
「歩けるよ…おろして」
「嫌だね、一日中寝てて俺を放置してたんだぞ」
「そうなったのは…」
「俺のせいだから、世話してやる」
ニヤッと笑った奏に、お風呂に入れてもらい体も頭も洗われ、恥ずかしくてしかたないのに、『いまさらだ』の一言で片付けられて、今は奏の膝の上で横座りで食事中。
温めるだけになっていた奏作のカレーライスは、ひき肉と玉ねぎだけなのに、とても美味しい。
「美味いか?」
「うん、美味しい」
「市販のルーだけどな…」
耳をほんのり赤くした奏、照れている証拠だ。
怒ると目尻が釣り上がる
笑うと顔中をくしゃくしゃにして笑う
照れると耳をほんのり赤くする
困ったり焦ったりしたら、髪をかきあげる
泣いたら?
なんて思っていたら、首元に顔を埋め抱きしめてきた。
「食べにくいんだけど…」
「俺の膝の上にいるのに何考えてるんだよ」