大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

反論する菜生がごちゃごちゃと言うことは、家に服も家具も置きっ放し置しにできないと言うことらしい。

「だから、引越してこいって」って言ってるのに
「無理だよ」なんていいやがる。

「何が無理だ⁈意味わかんねーんだよ」

「私達って…なに?」

「なにってなんだよ?」

引っ越ししてくる話なのに、何を聞きたいかわからない。

はっきり言えよ…と、イライラが増す中、「…もう、いいよ」と諦めた態度にムカついて

「よくねーよ。はっきり言えよ」

「いいって言ってるでしょう!もう、しつこい」

菜生は、俺を睨んで怒りだす。

「なんだよ…それ」

はっきり言わないくせに、逆ギレする菜生に俺は苛立ちを壁にぶつけた。

エレベーターを降りると…

「奏って、実はお金持ち?」

「…親がな…俺は普通のサラリーマンだ。それが一緒に住めない理由か?」

何を突然…部屋は違うが親と住んでいるのはどこにでもいる家庭と変わらないし、俺自身は親の脛をかじって生活してる訳じゃなく、ちゃんと親元を離れ働いている。

ここで、なぜ親が出てくるのかわからない。

菜生は、俺の親が金持ちだからと喜ぶ訳じゃなく、複雑な表情をし、戸惑いを隠そうとしない。

親なんて、関係ないだろう…
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