大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

昔、健に

『本気の恋愛って何だ?』と聞いたことがある。

健は、『お前も本気の相手が見つかればかわるよ』と返してきた。

今だに、答えの意味がさっぱりわからない…が、丁度その頃、健の呼び出しで伊藤 菜生を紹介された。

まぁ、最初の印象は、そこそこのいい女だと思った。

だからといって惹きつけられるものがある訳じゃない。

女になんて困っていないから、その場は適当にやり過ごしていた。

健の前だと女女するくせに、俺と2人きりになったら素の自分を出し俺を邪険に扱う。そんな扱いなんて受けた事がないからムッとして…

そう、その時だ。彼女の気持ちに気がついたのは!

そして、俺の一言が彼女の怒りスイッチを押してしまったらしく彼女からシカトされる。

俺を無視する女なんて新鮮で、ついちょっかいをかけては、睨まれたり、憎まれ口を叩かれる。

そんな彼女とのやりとりが他の女といるより楽しくて、4人で会う回数が増えていったのかもしれない。

気がつけば、彼女がいつも視線いた。

今も、新婦が『ななせ』と呼んで投げたブーケを彼女の手がキャッチするが、嬉しそうに見えない。

祝福したいのに悲しくて、戸惑っているように見えた。



< 18 / 211 >

この作品をシェア

pagetop