大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「珍しいな…奏が女からの誘いを断るなんて」

昼休みに喫煙室で一服中、かかって来た女からの電話を臣が聞いていた。

「たまには、女抜きで飲みたいと思ってな」

臣相手に、なにをカッコつけているのだろう⁈

だが、こいつには知られたくない。
俺が、ある1人の女に振り回されているなんてこいつが知ったら、面白く、とことんいじり倒すに違いないからだ。

優しく見えるイケメンのくせに、根は、ドSで最悪。

「それなら、付き合ってやるよ」

「お前も忙しいだろう⁈」

「いや、ちょうど手駒がないんだ。どこかに俺のS心をくすぐる女いないかなぁ」

こいつ、俺よりサイテーだ。

あー、これはもうこいつと飲みに出るのは決定だな…

仕事帰りに、臣がお気に入りの居酒屋に行く事になった。

もう、今日は飲んで菜生の事は考えるのをよそうと居酒屋に入り、臣が店員に席を確認すると週末だからか満席だと言われている側で、俺は店内を見渡していた。

そこに、見覚えのある…いや、会いたかった菜生がいた。

臣に、知り合いを見つけたといい、店員に合流するからと告げ彼女らのいる席に近づいた。

目が合ったのに知らないふりなんて、いい根性してるじゃないか!
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