大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「よう…菜生。ここいいか!」

そういいながら、菜生の隣に許可もなく座った。

「いいかじゃないでしょ。もう座ってるし…別の店に行ってよ」

迷惑そうな表情で文句を言う菜生を無視して、彼女の連れの女に確認。

「おっ、美味そう…俺らも混ぜてもらっていい?」

まぁ、ダメだと言われても動く気はないけど…

「優希さん、断っていいですよ。他行きなさいよ。あっちのテーブルの女子達なら喜んで混ぜてくれるから」

俺のこの4日間の気持ちも知らないで、なんだよ!冷たくないか?あんなに燃えた夜を朝まで過ごした仲なのに、つれなさすぎる。

こんな扱いをするのは、菜生ぐらいだ。

絶対、ここから動かないと決めた。

「優希ちゃんって言うんだ。俺、かなで!よろしくね。菜生の友達なら俺らももう友達だよな」

「どうぞ」

立っている臣に、彼女は座るよう促すとガッツポーズを胸の中でする。

「ほら、臣(おみ)も座れよ」

珍しい…臣が謙虚だ。

何か企んでいるに違いない。

機嫌の悪い菜生は、隣でムスッとしてビールをぐびぐび飲んでいる。

「菜生、それ何杯目?」

「まだ、一杯目だけど」

「ならいい。酔っ払い相手にしないといけないかと焦ったわ」
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