恋の始まりの物語
私の抗議の声も無視して、湯川はさっさと歩き去った。

今度は私が呆然として立ちすくむ。

何故バラす?
あんたに何のメリットが??


──私にとっては、一夜の夢だった。
それで充分だった。

これ以上、何もいらないから。

あの時の言葉も、肌も、声も。
吐息の熱さも、痺れるような高まりも。

もう、忘れて。
なかったことに、したいの──


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