Ignition
「で、理解したのか?」
 神長は優月の隣に座り直して、ようやくプルタブを引いた。

「まきちゃんが頭良いってことがわかった」

 見当違いの返答を「よかったな」とそのまま流す。分からなければ分からないとはっきり口にするタイプだから、疑問が出ないということは、理解したということなのだと、以前神長が話していたのを思い出す。

 めちゃくちゃなようでいて、それなりに二人の会話は成り立っているらしい。坂巻がひとりで笑いを噛み殺していると、優月が不思議そうな顔をしながら缶を持ち上げた。今更でもあったが、三人で乾杯した。

「もう一回ゼロから考え直したい。使ってもらえるためにはどうしたらいいだろう」

「敢えて使用期限付きにしたらどう? 頑張れるかも。あとはまきちゃんの業界考えたら採点機能付きとかも達成感あって面白そうだけど」

 遠慮がちに優月が言う。坂巻は手帳を開いてメモに書き留める。
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