Ignition
「いや、神長くんが正しい」しかし坂巻は言い切った。

「企画書なんて書いたからか、これが『贈りもの』だっていうことがいつの間にか抜けてたよ。仕事用ならいいって神長くんが言った意味も、あそびも含めて今わかった」

「え、なに。俺だけわかってないかんじ? はい、誰か説明ー」

 優月が拗ねながら手を上げた。その途端に神長がソファを立ってしまったから、役割は自然と坂巻に回ってきた。

「ええと……、多分、僕が考えたのは業務システム用のアプリっぽいんだよね。必ずそれを使う前提の上に、利便重視で作られたものっていうか。

何か新しいことをやってみようって思っても、続けるのって難しいと思うんだよね。それなのに、それを助けるための工夫がない。

神長くんの言うとおり、新井さんが自然に開きたくなってしまうような、一捻りが必要だと思った」

 背中で坂巻の話を聞いていた神長は、冷蔵庫からビールの六本缶を取ってスナック菓子と一緒にテーブルの中央に置いた。優月はすぐに全部の袋を大きく開く。
< 101 / 110 >

この作品をシェア

pagetop