Ignition
「それも考えた。実は学校と塾にも話を聞いてみたんだが、思い当たることはないそうだ。目が届かない部分もあるだろうから、絶対というわけでもないんだろうが、美香にも不安定な様子もないしなあ。だから、俺からしたら本当に『突然』だった」
「ふうん、なんだろうね。理由はなくても親から離れてみたいっていう気持ちは分かるけどさ、寮は寮で面倒くさいし。離婚したとき、新井さんと一緒にいることを選んだのは美香ちゃんだしね。なんか、私まで気になってきちゃったなあ」
箸を置いて、桐谷は背もたれに寄りかかった。
「とにかく、普段話せない何かを話してもらえるきっかけが欲しい。だから俺が全くやらなさそうなことをしたいと思ったんだ」
「だから、敢えていちばん興味のないところ攻めるわけか。納得」
「……しかし俺もこんなだしな。電気屋だとか本屋くらいならともかく、俺と二人で洋服屋には行きたくないだろう」
ここ数年で心なしか突き出してきた腹をさすりながら、新井は溜め息を落とした。
「ふうん、なんだろうね。理由はなくても親から離れてみたいっていう気持ちは分かるけどさ、寮は寮で面倒くさいし。離婚したとき、新井さんと一緒にいることを選んだのは美香ちゃんだしね。なんか、私まで気になってきちゃったなあ」
箸を置いて、桐谷は背もたれに寄りかかった。
「とにかく、普段話せない何かを話してもらえるきっかけが欲しい。だから俺が全くやらなさそうなことをしたいと思ったんだ」
「だから、敢えていちばん興味のないところ攻めるわけか。納得」
「……しかし俺もこんなだしな。電気屋だとか本屋くらいならともかく、俺と二人で洋服屋には行きたくないだろう」
ここ数年で心なしか突き出してきた腹をさすりながら、新井は溜め息を落とした。