Ignition
「その話はひとまずいい。ただ、服でも買ってやろうかと思っただけだよ。欲しいのあるだろう?」
「あるけど……、べつに一人で買いに行けるからいいよ。いつもそうじゃん、お母さんがいなくなってから」
付け加えるように言った美香の一言が、ばっさりと新井を切り捨てた。言葉に詰まって、新井は静かに息をついた。
「もし俺とふたりが嫌なら――」
「お父さん。私の誕生日なんだから、私が何するか決めたっていいよね。もう先生に日曜日行くって言っちゃったんだ」
「……そうだよな。じゃあやっぱり、今年の誕生日もいつもどおりがいいかな。じゃあちょっと夕飯支度してくるから着替えたら下においで」
苦笑して新井は立ち上がった。やはり家族とはいえども、人間関係は日々の積み重ねなのだ。離婚するまで妻に任せきりだった部分に今更首を突っ込むべきではないのかもしれない。
桐谷の話すら切り出せないままに、ドアノブに手を掛けた。
「あるけど……、べつに一人で買いに行けるからいいよ。いつもそうじゃん、お母さんがいなくなってから」
付け加えるように言った美香の一言が、ばっさりと新井を切り捨てた。言葉に詰まって、新井は静かに息をついた。
「もし俺とふたりが嫌なら――」
「お父さん。私の誕生日なんだから、私が何するか決めたっていいよね。もう先生に日曜日行くって言っちゃったんだ」
「……そうだよな。じゃあやっぱり、今年の誕生日もいつもどおりがいいかな。じゃあちょっと夕飯支度してくるから着替えたら下においで」
苦笑して新井は立ち上がった。やはり家族とはいえども、人間関係は日々の積み重ねなのだ。離婚するまで妻に任せきりだった部分に今更首を突っ込むべきではないのかもしれない。
桐谷の話すら切り出せないままに、ドアノブに手を掛けた。