私の好きな人



『おはよう』

『おはよ』


転校して1ヶ月


良平とは毎日一緒に登校した


会話は、おはようだけ




新しい学校や環境にも慣れてきて、新しい友達もできた



『彩月ちゃんって藤くん家の近くなの?』

『藤くんと一緒に来れて良いなぁ』

『何話すの?』

『私も一緒に登校したいなぁ』

『藤くん、かっこいいでしょ?』




そう


良平はモテてた



2人で登校してる所を違う地区の子達が目撃して



ただでさえ転校してきて注目されてるのに



良平のせいで、私の周りは女子で囲まれ続けた




でも



良平のおかげで、すぐ友達も出来たんだ





月日は流れ、あっという間に中学生



小学校とほとんど変わらない距離に中学生もあった




中学生になっても


良平と一緒に登校



帰りはバラバラだったけど



朝は自然と



『おはよう』

『おはよ』



一緒に歩いてた




いつからだろ…



なにがキッカケだったんだろ…




少しずつ少しずつ



気付いたら良平のことが気になってる自分がいた





特別仲が良いわけでもない


それでも


転校してきてからずっと一緒に登校してくれてた





小学校のとき


転校あるあるで、学校用品が私だけみんなと違う物を使って注目された



なんとなく嫌だった


めずらしく学校指定の傘を使用してる小学校で


もちろん私だけ違った



両親に相談しようかと思ったけど、まだまだ新しくて使える物ばっかりだったし、申し訳なくて言えなかった



そんなある日

『これ使えば?』


そう言って渡された傘


『俺2つ持ってるから…』



朝の登校のとき、良平から渡された傘を両手で握りしめて感動したのを覚えてる


すごく嬉しかった



良平には何気ない優しさがたくさんあった



子供ながらに、そんな良平の魅力に惹かれていったのだろうか…




いつからか分からない



気付いたら




良平のことが好きになってました





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