愛があれば、それで
「ねぇ、桜木さん」



ある日の昼休み。
あたしは、透くんの同期である桜木さんを呼び出していた。



「どうしたの?結花ちゃんから誘われるなんて久しぶりでびっくりしたよ……にしてもほんと透に似てるね」



横に置いたベビーカーで寝ている風音をみて、フッと微笑む。



「透くんの子だって明らかでしょ?」



寝ている風音の柔らかい頬をつんつんと突っつく。



「そうだな。で?なにかあった?」



あたしが桜木さんを誘うのは決まって、透くんになかあったとき。
そう、浮気が感じられたときだ。



「あのね、あたしの代わりに入ってきた子ってどんな子かな?」


「え……?」



桜木さんの眉がピクリと動いた。



「桜木さん、ごまかすのほんとできない人だよね」


「い、いや……」



桜木さんは透くんのことをなんでも知ってる。
ずっと一緒だからかな。
透くんのことなんでもわかるみたい。

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