王太子殿下の花嫁なんてお断りです!
「私が傍にいれば、また今回のようにアーノルド様を巻き込んでしまいます。

アンスリナの復興のようにご迷惑もおかけしてしまう」


「それは」

「私は、アーノルド様の迷惑にはなりたくない!」


大声を出したオリヴィアにアーノルドは驚いていた。

まさかオリヴィアがこんな風に大声を出すとはおもっていなかったのだ。


「お前、泣いてるの?」


オリヴィアの瞳から透明の雫がいくつもこぼれ落ちていく。

それは日の光に煌めいて、アーノルドにはひどく美しく思えた。


けれどオリヴィアは何を強がっているのか「泣いてないです」とそっぽを向いた。


「バレバレの嘘ついてどうする、馬鹿」


アーノルドは溜め息を一つ吐き出すと、「ほんと、面倒な奴」と呟いた。


「けど、お前のそういうとこかわいいと思う」

「馬鹿にしてますか」

「あのなあ…!」


アーノルドは腹が立っているのか溜め息を吐き出すと続けて言った。


「大体、お前の領地のことだって、元を辿ればこの国の領土なんだから復興って言っても面倒のうちにはいんねえんだよ」

「でも……」

「それにお前も復興を手伝うんだろう? 森を元に戻すために木を植えるって」

「それくらいしかできることがないから」


オリヴィアなりに自分に出来ることを精一杯考えたのだ。

そうして辿り着いたのが植林だった。

森が元通りの姿になるには何十年、何百年と時間はかかるだろう。

それでも何年、何十年、何百年とかかっても取り戻したい光景なのだ。


「お前はそうやって自分に出来ることをやっていればいい。お前にできないことは俺がするから」

「アーノルド様」


アーノルドは手を差し出してきた。その手をオリヴィアが重ね、握る。


「オリヴィア。

これからもずっと、俺の隣にいてくれ」


「……はい」


小さな苗木がやがて大樹になるように。

これから先もこうして手を取って、大切な人の隣で共に年を重ねていこう。

オリヴィアは心からそう願って、アーノルドの手をぎゅっと握った。



fin.
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