王太子殿下の花嫁なんてお断りです！
「お前は領地に帰らない。

このまま城に留まること。

これ、王太子殿下の命令だから」


にやりと笑う、その笑顔が大嫌いだとオリヴィアは心の底から思った。


「なっ、なぜそのようなご命令を！」

「理由はどうであれ、お前は俺を突き飛ばしたのだから罰を与えなければならない。お前を城に留め置くことはお前の罰だと思え」


罰と言われてオリヴィアは押し黙る。

罰を受けるに当然の行いをしたのだ、言い逃れはできなかった。


「分かるよな？

お前は俺に逆らえない。

もし逆らったら、お前の美しい領地も大切な領民も＿＿どうなるか、想像はつくだろう？」


ああ、最悪だ。最悪の結末だ。誰が想像しただろう。少なくともオリヴィアは思いもよらなかった。

王太子殿下が女たらしで、その上、オリヴィアが最も大事にしたい領地を人質にとるような真似をする、こんなにも性格が悪いだなんて想像できるわけもない。

オリヴィアが睨みつければ、さらに愉快だと言わんばかりにアーノルドは微笑む。

ああ、なんて不気味な笑顔だろう。

けれど口にしたらもっと酷い目に遭いそうで、オリヴィアは鋭く睨みつけていた。

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