花鳥風月


私は好きだ。


彼のことが。


それは付き合った当初から変わらない。


間違いなく、愛している。


愛とは、悲しみを消してしまうほどのものなのである。


それを最近知った。


恋と愛は、違うらしい。


恋をしていた時、私はただただ舞い上がっていたのだ。


恋をしている自分に、酔いしれ、恋し、浮かれ、燃えていたのだ。


だけど、愛とは、相手の幸せを願うものだった。


よく分からない、心の奥底から湧き上がってくる温かく、苦い気持ちが私を支配する。


そういう時に、彼を見ていると、きまって私は自分が悪いような、切ないような、泣きたいような、それでいて愛されたいような心地がするのだ。


幾つもの矛盾する思いが心に交錯する。


愛とは、苦しみを伴うらしい。


< 5 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop