一途な彼にとろとろに愛育されてます
5階の502号室へ入ると、私は荷物を置いて洗濯機を回す。
その間に台所に立って、とせわしなく室内を動き回った。
そして、ちょうど焼きそばも出来上がった19時すぎ。
ガチャ、と玄関のドアが開く音がして、少ししてからリビングに顔を覗かせたのは、先ほど帰り際にも会った無愛想な顔。
そう、檜山だ。
「……ただいま」
「おかえり。丁度ごはんできたよ」
檜山はキッチンから漂うソースのいい香りを嗅ぎながら、「あー、腹減った」とぼやきスーツを脱ぐ。
そして右手側にある自分の部屋へ入って行くと、Tシャツにジャージというラフな部屋着姿で戻ってきた。
ダイニングテーブルには、具沢山の焼きそばとビールグラスがふたり分並ぶ。
ふたりでそれを挟むように向かい合って、席に着いた。