一途な彼にとろとろに愛育されてます
「檜山、冷蔵庫からビールおかわり取って」
「飲みすぎると明日また寝坊するぞ」
「明日は中番だから大丈夫だもーん」
そんなやりとりをしながら、檜山が冷蔵庫から取ってくれた缶を受け取った。
同居の話が知られると、職場で騒ぎになりかねない。
そもそも恋人でもない異性と一緒に暮らしているなんて周囲からなんて言われるかわからないだろう。
そういう事情もあり、私たちの同居は誰にも秘密だ。
先輩は檜山を『謎』と言っていたけれど、本当は謎の男なんかじゃない。
プライベートはネットを見ていることが多いだけの普通の生活だし、恋人はいない。
住んでいるところが知られることで同居がバレるとまずいからはぐらかしているだけ。
そんな檜山の普段の顔も、檜山が私を『長嶺』でも『亜子』でもなく『ミネコ』とあだ名で呼ぶことも。
誰も知らないふたりだけの秘密だ。