【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―

発覚

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「フフフッ、まあ、そうでしたの」


「本当、参りますよ……」


明恩宮。


雄星様の治療を終えた後、順徳太妃を尋ねると、そこには高淑太妃に呉徳妃、そして、見慣れない妃が二人……計五人がお茶を飲みながら、話していた。


「でも、お姉様、本当に顔色が悪いですわ……」


心配そうに言ってくるのは、呉徳妃―呉碧晶であり、翠蓮の秘密を知っている一人。


相変わらず、呼び方は「お姉様」からぶれない、黎祥の四妃の中で第三位にも関わらず、全然驕らない素直な女の子。


「そうですか?」


「ええ……無理はなさらないでくださいまし」


「ありがとうございます。でも……舎妃様の方が、顔色が優れないように見受けられますが。どうかなさいましたか?」


見慣れない妃の一人目、舎桃仙(シャ トウセン)―先帝の妃の一人である為、位は剥奪されたものの、同じ家出身の黎祥の妃の宮に住んで、実家に帰ってはいない。


尚、先帝の第三皇女・花蓮(カレン)公主の母君である。


そして、この場にいるもう一人は、楚天薇(ソ テンビ)―先帝の妃であり、舎妃と同じ感じの待遇にあり、先帝の第一皇子・慧央(ケイオウ)殿下の母君でもある御方。


革命の際、多くの先帝の妃が殺されたり、下の者に下賜されたり、実家に帰されたりしたが、このふたりを含め、この場にはいないが、あとは呉妃―呉奏蘭(ゴ ソウラン)が、この後宮には留まっている。


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