【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
心は何にも動かないまま、時は経った。
そして、私が二十のとき。
既に私は多くの客は取っていて、一応、隠されてはいるけれど、名門の出身だから、それなりの技芸の持ち主だった。
二十にもなると、他の若い子達がいるから、客を取ることは少なくなっていき、技芸を見せることを専門とされるようになっていった。
鳥籠だけど、嫌な思いをいっぱいするけど、花街の中での生活は、実家よりも辛くはなかった。
―いや、嫌いな貴族の男達の手篭めにされることは辛かったかな。
それでも、相手が知らない嫌いな男でも、温もりに触れている間は、生きているということを教えてくれた。
泣いても、愛想笑いを浮かべても、呪いの言葉を吐いても、年はどんどん食っていく。
病気にかかっても、衛生管理の悪いところに放り込まれるだけ。
逃げる場所なんてない、そんな見た目華やかな牢獄。
それなら、もう吹っ切って、前を向いて生きた方がいいじゃない?