【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―


―翌朝。


翠蓮が目を覚ますと、どこにも黎祥はいなかった。


約束通り、自分の居場所へと帰って行ったのだ。


「翠蓮っ!」


部屋から出ると、朝早くから駆けつけてくれたらしい結凛と祥基がいて、


「これ、あいつが―……」


祥基から差し出されたそれを受け取った翠蓮は、泣き崩れた。


小さな、小さな、紙の破片。


そこに書いてある言葉。


―君の幸せを、ただ、祈っている。


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