【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



「あ、……っ、ああ………」


「苦しいね。大丈夫。大丈夫だよ、碧晶」


分かっている。


還ってこない。


何をしても、


願っても、


恨んでも、


殺しても、


還ってこない。


『前の皇后のようになりたくないわね』


『まぁ、大丈夫じゃない?だって、今の皇帝陛下は賢帝だもの』


『馬鹿みたいに遊興に耽って、そんな先帝を愛し続けた先の皇后様の気が知れないわ』


『しかも、最期は自ら……でしょ?』


『うわー、理解できない』


『相当!ひどい状況だったのかしら?私は家にいたから、何も知らないのだけど』


『革命と称されるくらいですもの』


『皇女しか産めなくて、皇后になれるなんて……相当、幸運な方だったのでしょう』


『フフフッ、表貴人、そのようなことは―……』


うるさい、うるさいっ、うるさいっっ!!!


姉様のことを何も知らないお前らが、勝手なことを言うな!!!


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