その悪魔、制御不能につき



私の微かな苛つきを感じたのか「怒るな、」とこちらの機嫌をとるように甘やかに触られるけどその手をパシッと払いのける。これで機嫌が取れると思ったら大間違いである。



「輝夜のためだ」


「はぁ?」


「いや、俺のためでもあるな」


「は?」



どういうこと?と振り返ればそこには意外と真面目な顔で私を見ている社長がいて少し驚く。え、何その顔。何か起こってるの?というかこれ確実に私何かに巻き込まれてるわよね。



「……ちゃんと説明して」



私の知らないところで私が巻き込まれてる現状とか怖い、と要求すれば少し考えるように黙った社長は渋々、という風に話してくれた。


まぁそういうこともあり得るだろうな、と思っていたけど、社長はかなり前からとある令嬢に付きまとわれていたらしい。いや、これじゃ言い方が悪いけど、つまり婚約者にしてほしいということだ。


でも社長的にはその人に好意もなければどちらかと言えば生理的に受け付けなかったタイプらしくて。どんなタイプだと聞いてみればこの会社に社長が就任したときに社長室に突撃かました人たちと同じタイプらしい。ルックスとステータスに惹かれてやってきた肉食女子タイプか、それとも清純装った女狐タイプだろうか。



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