あの時からずっと、君は俺の好きな人。
見た目は目立つタイプ。黙っていても女子から好意を寄せられそうだ。

あんなに目立っているのに、なんで名前も顔も知らなかったんだろ、私。

少し不思議に思ったが、私にとって大した問題では無かったので、まあいいか、という結論に至る。

あれが水野くんね。係を一緒にやるわけだから、一応覚えよう。


「あ、そういえばさあ。男子もなかなか決まらなかったんだけど、女子の方から先にくじを引いたのね」

「うん」

「それで藍に決まったら、水野くんいきなり立候補したの。じゃあ俺やるよって」

「ーーへ?」


美結の思いがけない言葉に、思わず私は間の抜けた声を上げる。


「まるで藍が決まったから立候補したみたいなタイミングだったよー?」


ニヤニヤしながら奥歯に物が挟まったような言い方をする美結。ーーって、おいおい。
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