あの時からずっと、君は俺の好きな人。
いきなり傍らから、残念そうな少年の声が聞こえてきた。少しハスキーで、無邪気で素直そうな魅力的な声。

私は思わず声のした方を向く。


「あ、吉崎さん」


声の主は、水野くんだった。私と目が合うと、彼は遠慮もなく微笑んだ。

ーー私の気持ち的に初対面なんだよなあ。っていうか話したこと多分ないし……。

彼はクラスメイトなら、誰でも壁を作らず接するタイプなんだろう。

一瞬でそんなことを思いながら、私も彼に合わせて微かに笑う。

そして彼は残ったパンをマジマジと見ながらこう言った。


「売り切れんの早くない? もうちょっとしか残ってないじゃん」

「ーー欲しいのあるならダッシュして買いに行かないと、ダメだよ」

「マジか。競争社会怖え」


まるで気心の知れている間柄であるかのような調子で話してくるので、私も自然とつられてしまう。


「ねー、残ってる中で何がおすすめ?」

「甘いのいけるなら……メロンパンかな。あとはソーセージパンとか?」

「そっか、じゃあそれにするわ俺」
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