セカンド・プライオリティ
「権利とかさ、そんなの誰が決めるものでもないんじゃないか」
「え?」
「人と人とのことに、権利も答えも、そんなの何もないと思う」
「…」

何かを考えるように唇を噛みしめる颯。
こればっかりは俺にはどうすることも出来ないから。だから俺が今友人として思うのは…

「彼氏ができたって聞いて、麻子ちゃんに対するお前の気持ちは変わったの?」
「…変わってない。むしろ改めて思い知らされた」
「お前に足りてなかったものと、お前が今出来ることは、同じなんじゃないのか?」

何かを振り切ったように顔を上げた颯と、真っ直ぐに目が合う。

「…ああ、そうだな」
苦笑いを浮かべながら、だけどはっきりとした意志を感じさせる光が颯の瞳に宿る。

「行ってくる。…サンキュ!」
「おう、いってらっしゃい」

荷物を掴んだ颯の背中を見送ってカウンターに目を向けると、そこには何もなくなった綺麗なプレートだけが残されていた。

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