アーティスティックな男の子。




「なら落ち着いてゲームしててよ、このポンコツが。オレのアンタへの価値がいよいよ人間以下になりそうなんだけど。」


『もうなってると言う目をしていらっしゃいますけど!』


「……。」


『無視!!!』


そこからまた30分後。


「はー…やっと終わった。零、これどう?」


「…いんじゃね。」


「だよね。我ながら良い作品出来ちゃった。じゃ、来週またここに来て。」


『えっっ』


「“え”じゃない。」


『ほかの人でもよくない??』


「なんでって、微調整するからに決まってんじゃん。アンタで型取ってんのに他の人でやったら意味無いじゃん。馬鹿なの?」


『さーせんっしたー☆』


「つか今、アンタのドレス仕立ててあげてんの。このデザインはアンタにしか似合わない(かもしれない)ドレスなんだからね?」


『何その(かもしれない)って。…え!じ、じゃあもしかして私にプレゼントしてくれるの?』


「金払わせるけどね。」


『えええええマジかよえええええ。』


「まあでもわざわざ練習に付き合ってもらってるわけだし、半額にはしてあげてるよね。」


『…えっ、零君。マジで皆払ってんの?』


「…ああ。俺も払った。」


まっっじか。


「ま、今回は自信作だから。期待しといてよね。」


『え、どんな感じなの?』


「ダーメ。次来た時には大体仕上がってる予定だから、そん時ね。」


『えええええ!』


「分かった、テーマだけ教えてあげる。」


『テーマ?』


「そ。今回のテーマは【色気ある女っぽさを引き立てるドレス】。」


「あー、納得だわ。この人、色気ねーから。」


『オイ。』


「発表会とかパーティとか曲お披露目会とかで着ればいいじゃん?つかアンタ、結構表の舞台に出る人なんだから、一着は作っといた方がいいと思うけど。」


『え、そう?』


「毎回思ったんだけどさ。…制服で出んの止めてよね。もったいない。」


『でもさ、わざわざ着替えなくてもよくない…?めんどくさいし。』


「は?周りはドレス着てんのにアンタだけすっごい浮いてんだよ?毎回毎回恥ずかしいとか思わないワケ?」


『…思わないねぇ。てかもう慣れた?』


「慣れんな。」




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